大阪地方裁判所 昭和59年(わ)5498号 判決 1985年4月12日
本店所在地
大阪市大淀区中津三丁目二三番八号
豊島化成株式会社
右代表者
豊嶋繁夫
本籍
大阪市大淀区中津三丁目七七番地
住居
大阪市都島区内代町二丁目二番一六号
会社役員
豊嶋繁夫
大正一二年三月二三日生
右豊島化成株式会社及び豊嶋繁夫に対する法人税法違反各被告事件について、当裁判所は、検察官宇田川力雄出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人豊島化成株式会社を罰金二七〇〇万円に、被告人豊嶋繁夫を懲役一年にそれぞれ処する。
被告人豊嶋繁夫に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人豊島化成株式会社(以下被告会社という)は、大阪市東成区中道二丁目二四番一三号に本店を置き(昭和六〇年一月一七日肩書本店所在地に移転)、プラスチック製品及び附属品などの製造並びに販売を業とするものであり、被告人豊嶋繁夫は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人豊嶋繁夫は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上げを除外し、架空の仕入れを計上するなどの方法により所得の一部を秘匿したうえ、
第一 被告会社の昭和五六年二月一日から昭和五七年一月三一日までの事業年度における所得金額が九八二五万九八〇五円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、昭和五七年三月三一日、大阪市東成区東小橋二丁目一番七号所在の所轄東成税務署において、同税務署長に対し、右事業年度における所得金額が三四七万二三四〇円で、これに対する法人税額が七九万七一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度における正規の法人税額四〇〇六万四三〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)と右申告税額との差額三九二六万七二〇〇円を免れ
第二 被告会社の昭和五七年二月一日から昭和五八年一月三一日までの事業年度における所得金額が六三六三万三八二三円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、昭和五八年三月三一日、前記東成税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が三九五万五七一〇円で、これに対する法人税額が九三万〇三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度における正規の法人税額二五五〇万九七〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)と右申告税額との差額二四五七万九四〇〇円を免れ
第三 被告会社の昭和五八年二月一日から昭和五九年一月三一日までの事業年度における所得金額が七七三〇万九六九〇円(別紙(三)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、昭和五九年三月三一日、前記東成税務署において、同税務署長に対し、右事業年度における所得金額が五五三万四五二〇円で、これに対する法人税額が一四五万七七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度における正規の法人税額三一三〇万七三〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)と右申告税額との差額二九八四万九六〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
一 被告会社代表者兼被告人豊嶋繁夫の当公判廷における供述
一 被告人豊嶋繁夫の検察官に対する供述調書
一 被告人豊嶋繁夫に対する収税官吏の質問てん末書一四通
一 川上啓子の検察官に対する供述調書
一 川上啓子に対する収税官吏の質問てん末書九通
一 収税官吏作成の査察官調書一六通
一 東成税務署長作成の証明書(法人税確定申告書添付のもの)三通
一 東成税務署長作成の証明書(青色申告承認取消に関するもの)
一 収税官吏作成の脱税額計算書三通
一 法人登記簿謄本(昭和六〇年三月一二日作成のもの)
(法令の適用)
被告人豊嶋繁夫の判示各所為は、いずれも法人税法一五九条一項に該当するので、それぞれにつき所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役一年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
被告会社に対しては、法人税法一六四条一項により被告人豊嶋繁夫の前記同法一五九条一項違反の各行為につきいずれも同条項の罰金刑に処すべきところ、それぞれにつき情状により同法一五九条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により右各罰金の合算額の範囲内で、被告会社を罰金二七〇〇万円に処することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 野間洋之助)
別紙(一)
修正損益計算書
自 昭和56年2月1日
至 昭和57年1月31日
<省略>
<省略>
別紙(二)
修正損益計算書
自 昭和57年2月1日
至 昭和58年1月31日
<省略>
<省略>
別紙(三)
修正損益計算書
自 昭和58年2月1日
至 昭和59年1月31日
<省略>
別紙(四) 税額計算書
<省略>